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使う漆と知る漆を振り返っての追記

使う漆と知る漆を振り返っての追記

先日「使う漆と知る漆」についての振り返りをしたところなのですが、そのことをFacebookで紹介するにあたって書いた文章に、いくつかコメントをいただきました。きっと他にも共感してくださる方がいるんじゃないかと勇気や力をもらい、せっかくなのでそれをこちらでも改めて掲載させてもらおうと思います。Facebookを開かない方にも届くと嬉しいです。

-食堂で漆器を使い、ワークショップや実演、トークや映像で知る-

これまでは漆のこと、漆器のことを幅広く知ってもらう(口当たりがいいよ、とか長く使えるよ、とか)、そして敷居を低くし身近に感じてもらうことを考えてやってきましたが、今回はより踏み込んで漆という素材を知る、その背景に目を向けるきっかけづくりをすることを意識しました。

漆の世界だけに限りませんが、現在の手仕事・工芸ブーム(と言っていいのかわからないけど)以前の長い間、私たちが大切にしてこなかった、思いを巡らせてこなかった物事が、ここに来てたくさんの危機を迎えています。

作り手の高齢化に後継者問題、原材料の不足や質の低下などなど。根底にはそれらに関わる仕事の人材不足、というか、それでは生活が出来ないというなんとも世知辛い状況があります。どうしてそういった大切な役割を担う人がそれを真面目にやって生活ができないのか。

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photo:Atsushi Okuyama

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photo:Dai Iizaka

「なくなってほしくないよね」「がんばって続けてほしい」なんて私たちは簡単に言うけれど、そのために自分たちは何をしてきたのか。何をしていくのか。人任せにしていては本当に残したいものが残せない時代です。

お金ってなんだろう。と考えます。もちろんお金はいくらでもあるものじゃないし、遣い道をしっかりと考え、節約もしなくちゃいけない。でもそれは「安ければよい」ことではない。

自分たちの選択は、何を残して何を残さないかということにしっかりとつながっています。大事な役割を持つ人にお金が回らず、続けることが出来ない。結果、そのものを失ってしまう。「安ければよい」ことでHAPPYになるのは一体誰なんだろう?なくなってから気付いたのでは遅いのですよね。

応援したいものごと、続いてほしいものごとに対してフェアにお金を払う。尊敬する仕事をしている人が、心身ともに健やかでその仕事を続けられるように、みんなが支えあう。そんな世の中がいいなぁと思います。そうして気持ちの良いものに囲まれて、心豊かに過ごしたい。

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漆のイベントを続けるのは、漆の魅力、その背景を伝えたいというのもあるけれど、「循環」について考えるひとつのきっかけを作りたいという気持ちが大きいのかもしれません。

いや、反対かな。もしかするとその逆で、漆のことを知っていくうちにそこに辿り着いたのかも。それくらい、たくさんの大切なことが詰まっている漆の世界。だって縄文から続いているんだものね。改めて。

改めまして、みなさま本当に本当にありがとうございました。