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石川昌浩展

石川昌浩展

トップページを替えてからしばらく経つので、既にご覧下さっている方も多いかと思います。石川昌浩さんの冬の硝子、12月8日(土)からはじまります。

jokogumoでの個展はいつも冬、12月です。
冬にガラス?と思われることもあったかもしれませんが、jokogumoとしては最初の個展が決まったときから冬の硝子の美しい景色がイメージされ特別な思い入れを持っています。やわらかな冬の日差し、外にひろがる冬の景色が美しく感じられるのは部屋のあたたかさがあってこそ。その冬らしい部屋のあたたかさを硝子が受けとめる様子は想像するだけでもいいものです。

石川昌浩さんの硝子にはそういった、「受けとめる余白」があるように思います。いいよ、ここに座って。いいよ、ここに置いておきなよ。いいよ、とりあえず空けとくから。そんなような気軽なものだけど、あたたかい。

2年前の個展のときに「硝文(いしぶみ)」というのがありました。そのことについて紹介した記事より

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石文ならぬ、硝文。
石川さんの作るものの中に、かたまりの硝子=吹かない仕事というのがあります。何かに使うようなものではなかったり、使うとしても機能的とはいえなかったり、普段着のように気軽に使えるガラスのものを作る石川さんには珍しいタイプのものだと思うけど、かたまりって思わず手の中にきゅっとおさめてしまう、そうさせる何かがあるように思います。石でも、木でも、なんかこう、手で抱えて、あたためてしまう。

重いって?いいじゃない。使えない?いいじゃない。そんな硝子もいいなぁと思うようになりました。素材としての硝子、そこから生まれたカタチに想いをこめる。それを手にするたび、目にするたびに何かを思い出したり、感じたり。そういう存在の硝子です。

ちなみに、石文とはその字のとおり石の文。石に想いをこめたり託したりして、誰かに渡すのだそうです。字のない時代(一般的でない)からのお便りのカタチ。たくさんの石の中から、自分がこれだというものを見つけて相手に渡す。まるくてやさしいもの、どっしりと力強いもの。伝えたい気持ちとともに選んだもの、カタチというのは、きっとその想いを伝えてくれるものなんじゃないかな。そんなふうに思います。
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今冬の硝子のことを言葉にしていて思ったのは、そのとき(2年前)は分かりやすくしっかりとした塊の姿をしていたけれど、結局この人のつくるものにはどこにも碑文的なところがあるんじゃないかということ。2年前のあの塊があったからこそ改めて感じられたことかもしれません。

石川さんとはjokogumoをはじめる前からのお付き合いだから10年くらいが経つけれど、個展の度に少しずつ少しずつ、近づいていく感じ。個展はお客様にご覧いただくよい機会でもあるし、私にとっても大切なイベント。あと10日。

石川昌浩展『見立てる硝子』
12月8日(金)-16日(土) 
12:00-18:30 ※16日のみ17:00まで
石川さん在店予定日 8日・9日

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