故きを温ねて新しきを「着る」展 -うなぎの寝床とMONPE-
すっかりjokogumoでもお付き合いの長くなったうなぎの寝床と現代風MONPEについて。
故きを温ね新しきを『着る』展の開催にあたり、改めてご紹介をしたいと思います。
【うなぎの寝床】
2012年、福岡県八女市で創業。「地域文化商社」と謳い、その活動はメーカー、店舗運営、出版、ツーリズムなど多岐にわたります。
地域文化、それは昔からその土地にそういうものがあるとなんとなく知ってはいるけれど、通り過ぎているもの。
時代や文明の発達とともに人知れずなくなっていったもの、そしてこれからなくなりそうなものは少なくありません。
そんな潜在的な「地域文化」を見える化し、それを作る人、使う人を繋ぐハブとなり、まずは知ってもらう。
知ってもらい、その技術に目を見張ったり、使いやすさに気付いてもらう。
その上で、これからこれをどうしていこう？とみんなで対話しながら考えていく。
うなぎの寝床は、そんな仕掛けやネットワークを作る「地域文化商社」として、いろいろなチャレンジをされています。
【現代風MONPE】
その取り組みの一つが、福岡・筑後地方の久留米絣を使った「現代風MONPE」です。
もしかしたら、うなぎの寝床＝もんぺ屋さん、だと思っている方も多かったりするのでは、というくらいうなぎの寝床の代名詞ともなっているようなMONPE。
そもそも「もんぺを作りたい」と思って作ったのではなく、「どうしたら久留米絣のよさを伝えられるだろう？」が出発点。そのひとつのアウトプットとして目を付けたのが、古くから人びとの日常着として使われてきた「もんぺ」という衣服でした。
形は共通、S/M/Lのシンプルなサイズ展開のみで、年齢や性別や体型に関係なく万人が楽しめる。
何よりも「穿く」ことで、その布そのものを肌でダイレクトに感じられる。
たしかにMONPE！久留米絣を知るのにぴったりだなぁと思います。
現在は久留米絣だけではなく、各地の産地の生地とのコラボMONPEもつくられていて、毎年どんどん増えるラインナップ。よくこんなにたくさんの作り手さんと繋がれるなぁと率直に驚きつつ、ここまで色々な生地を穿き比べて楽しめる服って、うなぎの寝床のMONPE以外ないんじゃないかと思います。
jokogumoでMONPEをご紹介する展示はなんと7回目。おかげさまでMONPEリピートユーザーの方もかなり増えました。聞くとその用途はさまざまで、リラックスウェアとして、在宅勤務時の服として、登山服として‥活躍の場はなんとも幅広いです。
◎もんぺのコーディネートはInstagram #monpeコーデ #もんぺで巡る神楽坂も是非ご覧ください。
【そもそも久留米絣って？】
福岡県南部の筑後地方で200年以上にわたって織られ続けている絣(かすり)です。
絣（かすり）とは先染めで模様を生み出すのが特徴。織る前の糸を括って染めて解いて、白く残ったところを経糸×緯糸をぴったり合わせて織ることで柄を表現するという技法。織るときに微妙にずれることで独特のかすれた模様が生まれ、プリントとは違った味わいとなります。
いくつかあった絣の産地ですが、その中でも久留米絣はどこまでも昔ながらの作り方。昔ながらの織り機を使ってゆっくりゆっくり織り、洗浄時は薬品等を使わず、干す時も天日干しで自然乾燥。その結果限りなく手織りに近い風合いで、やわらかく丈夫に仕上がります。
‥と言葉で説明すると少しイメージしづらいかもしれないのですが、今回のイベントでは上映会も企画しています。
2月に開催した知って学ぶ、久留米絣の勉強会でも生産現場の映像を見たのですが、「この令和の時代にこの作業を‥」と参加者一同びっくりの連続。その一方で、括り屋さん、染め屋さん、織元さん、それぞれの高い技術が集結してようやく完成する布なのだということが、ありありとわかったのでした。
さてこの久留米絣は、着物を着る人が少なくなり、また機械を使って大量生産ができる時代となり、30年前は70軒あった織元さんは今や20軒ほどになっているとか。そう、まさに「なくなってしまうかもしれない地域文化」のひとつなんです。
長々と書き連ねましたが、百聞は一穿きに如かず！ずらっと揃うこの機会にぜひ故きを温ね新しきを『着る』展で色々と穿き比べてみてください。
(スタッフM)
2023.5.19金-24水
12:00-18:30
※最終日は16:00まで
場所 神楽坂フラスコ+土脈
新宿区神楽坂6-16 1F/2F
企画 くらしの知恵と道具jokogumo